Zoom管理者が行うべき全設定一覧

シンジです。Zoomを使ったビデオ会議が爆発的に増え、「Zoomする」という単語で通じてしまうくらいの一般化がされたところですが、企業で導入する場合は社内のユーザにどのように使ってもらおうか、どの様な設定を入れておくべきか悩む人も増えているようで、今回は各設定の説明も入れながら解説し、自分の組織ではどうすべきかを改めて考えてもらえればと思います。

対象はZoom Meetings

Zoomには会議室専用だとかウェビナープランだとか、様々な用途を想定したアプリなどがありますが、今回は一般的にみなさんが利用されるZoom Meetingsについてのみ取り扱います。

管理者権限でログインしましょう

ログイン後、左メニューに管理者の項目が増えます。ここから設定を行います。今回掲載しているスクショの設定は、実際に当社で設定しているそのままです。全項目を説明すると大変なので、ポイントだけピックアップしていきます。

ロック機能を覚えよう

画像の通りに鍵マークを有効にしていると、ユーザがその設定を変更することはできないということです。

この設定はユーザに勝手に変更されたくない!という項目に適用します。

ロックした項目はなるべく増やして、ユーザに設定項目をそもそも表示させないことで、超多機能なZoomの設定項目を減らすことができるので、結果的にユーザの負担を減らす効果があります。使い慣れてる人からするとあれがないこれがないと言われるかもですが、そんなやつは極小なので気にしません。

アカウント設定

ミーティングをスケジュールする

「ホストの前の参加」を有効にすることで、ミーティングを発行した本人が参加する前に、他のユーザが会議に参加することができます。時間通りに来るかどうかも分からない主催者(特に俺)を想定した設定です。

この設定を無効にしておくと、「主催者が参加するまで待ってね」といった画面で待機になります。

とある企業の話では、上司が早めに参加したところ誰も来ていなくて、なんだこの会議はふざけるな!てきな感じでぷんすかしてたことがあったそうで、エンターテインメントあふれる機能だなと思います。

Enable Personal Meeting IDは、各ユーザに割り振られる個別の会議IDを使うか使わないかを選択できます。

Zoom会議は発行するごとにIDが変更され、その都度参加者に教えてあげる必要がありますが、パーソナルIDを使うことで、IDが変わらない会議を作ることができるので、定期的な会議や参加者に一度だけIDを伝えて繰り返し使いたい用途などが想定されます。

企業で使う場合、どんな会議が行われたか記録を確認したり、監査対応用にログを揃えたりすることがあるのですが、パーソナルIDでの会議は別扱いになるので管理上都合が悪い点があり、扱いが難しい場合があります。

認証されているユーザーしかミーティングに参加できませんという設定は、一見すると入れておいた方が良さそうにも見えますが、自組織以外の不特定多数の参加者を想定する場合はオフにします。

この機能は事前に定義した認証プロファイルを利用するかどうかということなのですが、例えばcloudnative.co.jpでZoomにログインしている人しか参加できないとすれば、社内専用となりますし、関連会社などのドメインを追加しておけば、ホワイトリスト的にも使えるということです。が、様々な相手と会議ができる優位性が無くなる絶妙な機能です。

ミーティングトピックに「Zoom Meeeting」が常に表示されますというのは、カレンダー連携などで会議のタイトルに「倒産前準備」とか書いてあるとZoomの画面をスクショしたり他人にチラ見されたときに、会議の内容を聞いてないのに倒産するのがバレるの嫌だな的な、会議タイトルは非表示の方がいいなってときにオンにします。

そもそも会議タイトルにそんな機微な記述をするなって話ですが、実際のところ表記がZoom Meetingになったところで、会議の内容が誰もわからず雑談になることはないので、オンにするのもいいと思います。

パスワード項目は有無を言わさず強制オンで。URLにパスワード埋め込みすることで利便性を損なうことはありません。URLにパスワードを埋め込んだらセキュリティ意味ないのではと思う人もいるかもしれませんが、機械的に予測しやすかった会議IDが、パスワードが付くことで予測しにくくなるので、めちゃ効果あります。パスワードをわざわざ別のメールで送ったりする必要はないです。ただ、相手が、2通目のメールにパスワードが来ると精神的に落ち着くなどの場合は効果があると言えます。

ここは画像の通りが良いです。参加者をエントリ後にミュートする機能は、ざわざわするのを抑えられそうで良さそうかと思いきや、実際は、「あれ声でてない、なんで?」が発生する方が多いのでこのままがオススメです。

ミーティングにて(基本)

当社ではZoomでのチャットやファイル送信を一括で禁止しています。禁止しなくてもいいのですが、そもそもSlackやBoxを使っていますし、ファイルや会話が分散すると、機械的にログチェックしたりファイルの管理したりしているのがぶれちゃうのと、例えば議事メモ的なやつも別途オンラインメモを用意しているのでZoomでは禁止しています。APIを利用してチャット監査もできそうですが、チャットオンの利点があまりないのでオフにしています。

共同ホストは、主催者には会議設定の様々な権利が与えられるのですが、これを主催者が別のユーザに、あなたも管理設定やってちょーってことで同等の権利を渡すことができます。主催者がZoomの各設定に詳しいわけではないので、ホストを奪わずコントロールできる機能をもらってヘルプすることもできたりします。

投票については、会議内で投票が必要なケースでは便利かと思いますが、やたらめったら投票される投票ハラスを防ぐために、Zoom内ではオフにしています。

ミーティング管理ツールバーを常に表示すると、Zoomでミュートにしたり、ビデオをオフにしたりするツールバーが常に表示されます。慣れている人はオフの方がプロっぽくていい感じなのですが、あれーこれどこからミュートにするの?とか、どこで画面共有するの?という無駄な会話を減らすために常に表示にしています。ロックをかけないことで、分かる人は表示をオフにできるといった具合です。

画面共有とても大事な項目です。Zoom会議中に画面共有を行うと、特に設定をしていない場合は、全画面でドバッと画面を専有されるので、画面共有ハラスが発生することがあります。

誰かが画面共有をしているときに、他の人が画面共有を開始できるかというのもポイントで、画面共有の往復を頻繁に使う組織の場合、画面の通りにしておくことで、「画面共有したいから、そっちの共有止めてもらってもいい?」というワンクッションを減らせます。

そしてユーザーのデスクトップ/画面共有を無効にしますを有効にすることで、デスクトップそのものの共有を無効化し、アプリケーションのみの共有を強制できます。これで、デスクトップに散らばっている見せたくないものや、本来共有すべきではない開いていたメモ帳の中身などを晒すことがなくなりますが、デスクトップそのものを共有することで、複数のアプリを見せたりすることもできるので、一長一短です。

遠隔操作を使うと、参加者のキーボードとマウスを操作して、遠隔サポートなどを行うことができます。遠隔操作をリクエストすると相手に表示されるメッセージなどをカスタマイズできます。

非言語的なフィードバックって書かれるとさっぱり分かりませんが、要するにいいねボタンとかが押せますよってことです。正直お好きにどうぞ項目です。

取り除かれた参加者を再度参加させることを許可というのは、許可していないと、ホストが参加者を削除した際に、その会議からBANされる(二度と参加できない)という機能です。ミーティングをインターネットに公開して誰かも分からない人が来るような形で会議をすることがなければ、参加者を削除することそのものがないと思うのですが、何度も再接続したら同じ人が複数参加しているように見えるとか、会議からいったん退出してもらったほうが都合がよい時に使います。許可していると、同じ会議にもう一度参加することができます。

ミーティングにて(詳細)

Report participants to Zoomは、会議に参加している人たちが、あいつやべえやつだよホストに教えてあげなきゃ、みたいなときに使う機能です。どんな会議だよ。

キャプションの保存は、それぞれの端末にデータが保存されないようにするために、キャプションといえども許可していません。

グループHD映像は、カメラを有効化したときになるべく高画質でお届けしたいと言うことで、オンにしてあります。回線の都合やイマイチ接続の悪い参加者がいるときは、そもそもビデオをオフにしてもらうと安定するので、当社ではまずはHD映像から挑戦です。

ミーティングが2人しかいない時のピアツーピア接続はオンにしておきます。2人だけの時は参加者同士で直接接続することで、安定化を狙います。

音声選択は、会議を行うことを前提に考えたときにモノラルで聞き取れればよいので、設定そのものを消し込んであります。

Select data center regions for meetings/webinars hosted by your account の項目は、ユーザがミーティングをスケジュールするときに、どのデータセンターにデータを流すかを選べるという、すごいんだけど迷惑な機能で、ここはロックしておきます。こういうのはユーザで選ばせるものではなく、管理者でコントロールすべきです。この項目をロックしておかないと、ユーザミーティングをスケジュールする画面に「Enable additional data center regions for this meeting」という項目が出てくるようになっています。利用者が混乱するかもしれないので、ロックして非表示にするのがオススメです。

これがロックしていない時のユーザ側の画面です

待機室は、主催者が本番の会議に参加させる前に、参加者をまずは待機室にぶちこんで、許可したら会議に参加できるといった機能です。よく分からん連中が会議に入ってきて荒れるのを防げるのですが、企業で使う場合は許可の押し忘れの方が圧倒的なので、当社では使っていませんが、使いたいシチュエーションもあるだろうということでロックしていません。

管理者オプション

iOSタスクスイッチャーでスナップショットをぼかすというのは、iPhoneからの画面共有を行うとき、アプリの切り替えをすると、切り替え中の一覧画面に個人のLINEが見えたりするの嫌だなーみたいな状況を防いで、切り替えをしている時はボケた映像になる機能です。ただ、切り替え後にLINEを開けば、ばっちり画面共有されます。

Display meetings scheduled for othersは、Zoomで今後予定されているミーティングを表示するかどうかです。無効に設定すると、なんか予定あるらしいけど何の会議かは分からんという表示になります。会議タイトルとかを晒したくない時は無効化しておきます。

ユーザーがチャットによりZoomサポートに連絡することを許可するは、基本的にオフにします。ほいほいとサポートチケットを切られて何を問いあわせてるのやらって感じですし、ちょっとした使い方くらいは社内で解決しましょうってことです。

記録

Zoomで行われた会議は、デジタルデータとして記録することが出来ます。別途記録専用のライセンスなどを必要としないで使える機能なので、有効化することをオススメします。

録画していることは全てのユーザが確認できます。録画を止めるとそれも分かるので、撮られてるという緊張感から解き放つのも容易です。会議の内容によっては撮らない方が良いこともあるわけですが、全部撮るんだ!という意気込みの管理者がいるのは容易に想像できますが、Zoomだと記録されるから他の使おうとなるのが見えるのも容易に想像できるので、この辺には人間らしさが必要です。

当社はローカルへのビデオ保存を禁止し、全ての録画データをBoxへ自動転送するように設定してあります。Dropboxだと公式のインテグレーションを使うことで、ポチポチ設定するだけで録画データの転送ができるらしいのですが、Boxの場合は作り込む必要があったので作りました。無償で公開しています。

https://github.com/cloudnative-co/lambda-ZoomRecordingsTransfer

クラウド記録は画像のような設定をすると、音声ファイルと録画ファイルが分かれて保存されます。ただし録画ファイルがm4vなので、再利用が面倒だなって思ってます。

それぞれの画面を録画すると、とんでもない量の録画データが作られるので、どうしても全画面必要ってとき以外は要らないなと思ってチェックを外してあります。

音声トランスクリプトは、日本語には対応していません。英語の場合に文字起こしをしてくれる機能です。

ホストがクラウド録画にアクセスうんぬんは、オフにしておかないと、録画を止めておきたい場合そのコントロールができなくなるので、オフにします。

クラウド記録のダウンロードは、ローカルにデータを保存させたくないという観点でオフにしてあります。

IPアドレスアクセスコントロールは、ここでは録画データに対してという制限です。当社はBoxでコントロールしているのでIP制限など無意味。

この項目をオフにすると、誰でも録画データを見られるようになります。アクセス制御がなくなるわけなので、もし第三者に録画データを確認してもらう必要があるときは、別のクラウドストレージでアクセス管理を行って、そっちのURLを伝えましょう。

ホストはクラウド記録を削除できますをオフにしないと、なんでもかんでも録画を削除できてしまうので、そもそも録画されたくない会議は録画をオフにしましょうということで、管理者のみが削除できるようにしてあります。

自動的に削除設定を7日にしてありますが、当社の環境ではすぐにBoxへファイル転送されるので、即日で消しても良いのですが、うまく転送できなかったらいやだなーと思うところもあり、なんとなく7日です。保存容量にも上限があるので、上限を叩くと古い録画データから勝手に削除されます。

オーディオ通知はピロンピロンやかましいのでオフにしてあります。その程度のものです。

電話

Zoom会議には電話から参加することもできます。国際電話かと思いきや、国内電話扱いなのでカジュアルさはあるものの、安定性が絶妙なので、もはやこの辺は実際に使ってみて下さい。電話かけるだけなのでテストも簡単です。この機能は組織ごとに必要性が異なるので、そもそもオフにしておくという手もアリです。

以上、Zoomはプロ向けな道具です

政府利用から教育など、様々な会議用途を想定された充実しすぎる機能を揃えています。管理者は事前に自組織に適した設定をZoom側に適用する必要があります。また、状況に応じて設定を変更することもあります。

Zoomで起きる事故の多くは設定漏れや使い方の問題です。プロ用の道具は誰でも使える物ではないのです。管理者が予め抑えておけば、より便利により安全に使えるように作られているので、作り込みはしっかりとやりましょう。

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